*神氣館【 高槻市 天神町道場 】               Shinkikan aikido tenjinmachi-dojo (公財)合気会公認道場                                   Takatsuki-city Osaka JAPAN         大阪府合気道連盟加盟道場                                       開祖植芝盛平の言葉と思いを動作する basic techniques from words and thoughts of the Founder, Morihei Ueshiba        不動の軸足に陰の魂氣:〝吾勝〟  非軸足と魂の比礼振り:〝正勝〟        〝この左、右の気結びがはじめ成就すれば、後は自由自在に出来るようになる〟:軸足交代         二つはこんで一と足すすむ・入り身一足と、体軸に与る両手の巡り:〝左右一つに勝速日、業の実を生む〟        〝正勝吾勝〟で剣素振り   合気の剣は〝勝速日〟                      天の浮橋に立つのタイトルに 1. 「うっちゃり」(打っ棄り)と合気道の返し技は〝正勝吾勝〟2024/4/4                      2. 合気道における上肢の運動表現 2024/4/10 「令和6年のおしらせ」に4月の稽古予定                           稽古の記録 2010/8/15〜2024/4/24

2023年

6月

28日

水曜稽古の記録 魄気の陽で体軸を無くしても正勝吾勝で返し技

  • 自主稽古:剣素振り(正勝吾勝の片手から両手で勝速日・合気の剣へ)、後ろ転換で前後切り、切り返し、13の杖から789の相対動作とリズム
  • 禊:天の浮橋に立ち天地の氣に氣結びする/鳥船、左右左
  • 単独呼吸法坐技:降氣(呼気で肘と腋を閉じ陰の陽で母指先が側頸を指すと腋を開いて母指先を側頸に触れてから下丹田まで降ろす)、回外(手首を屈曲して陰の陰で母指先を前方に向ける)、昇氣(呼気で腋を開きながら陰の陽・小手返しの手で母指先を下丹田から側頸に上げると吸気で虚空に両手を開く・真空の気に結ぶ)、入り身運動、振り子運動(正座で体軸の確立)、両手で天地に氣の巡り(開祖の言葉:一人で陰陽の気で結ぶ合気)
  • 合気体操
  • 単独基本動作:①入り身運動で入り身一足(二教の手、振込突き、横面打ち、中段受け流し)、②下段受け流し(魂氣の外巡りと魄気の外転換)、③上段受け流しで返し突き=一教運動裏、④一教運動表(井桁に進んで軸足交代で連続入り身運動と両手で気の巡り)、⑤片手取り想定で入り身転換・体の変更・後ろ転換、⑥片手取り想定でその場で内股に踏み詰め軸とし、後方半回転=体の変更(三面に開く)・後ろ転換(結局後方一回転)、⑦交差取り想定で手は外巡り、足は内股で軸を作る後方半回転=体の変更・後ろ転換で昇氣呼吸法の単独動作/与えた手を鼠蹊部に結んで軸足側とし、一歩入って内股で軸足交代する後ろ一回転で一教裏の動作:鼠蹊部に結んだ軸足側の魂氣(吾勝)が後ろ半回転で非軸足側(正勝)となってから再度軸足に交代したとき後ろ半回転で正勝に巡り地に結ぶ。⑧外股の軸足とその膝に置いた同側の手を体軸として前方半回転連続、前方一回転、⑨後方一回転
  • 片手取り入り身転換・体の変更・陽の魄気と魂気で呼吸法表:体の変更では陰の魄気を確立すること。下丹田に結んで引き込み、すぐ陽に発する。鳥船右半身のエイ・エイ。体の変更を魄気の陽で終えると軸足交代が無く、すでに魂氣を陽で発することができない。
  • 正勝吾勝で下段に与え、片手取りに外転換二教裏、受けは後ろの足から一歩前に置き換えて後ろ半回転で脇を閉じると母指先が水平で手首が屈曲する(呼吸法の回外)、取りの手は二教の手から三教に返される
  • 同じく片手取りに陽の陽に開いて受けの手首屈側を下から矢筈で掬い、外転換で陽の陰に返して受けの指先を束ねて反屈にして眼前に掲げてから三教で取る。受けは一歩前に出て腋を閉じると後ろ転換で下丹田に陰の陽(小手返しの手)で結ぶ。
  • 胸取りに一歩退く体の変更で半身を転換して陰の魄気で同名側の手で受けの手を外に払い、陽の魄気で逆半身横面打ち外入り身転換・体の変更、入り身投げ裏
  • 胸取りに相半身で一歩入って軸として転換・体の変更で同名側の手は下から肘の袖を取り同側の非軸足と一緒に外転換で受けの肘を前に突き出し、対側の手は受けの同名側の肩を引き付けると四方投げに落とす。

2023年

6月

25日

天神町道場稽古 受けの剣の持ち方が取りの内/外で基本動作を規定する

  • 単独動作の自主稽古:剣素振り(片手と両手の違いを知る)、後ろ転換、切り返し、合気の剣、
  • 禊:天の浮橋に立ち天地の氣に氣結びする/鳥船、左右左
  • 単独呼吸法坐技:降氣(呼気で肘と腋を閉じ陰の陽で母指先が側頸を指すと腋を開いて母指先を側頸に触れてから下丹田まで降ろす)、回外、昇氣(呼気で腋を開きながら陰の陽(小手返しの手)で母指先を下丹田から側頸に上げると吸気で虚空に両手を開く)、入り身運動、振り子運動、両手で天地に氣の巡り
  • 合気体操
  • 単独基本動作:①入り身運動で入り身一足(二教の手、振込突き、横面打ち、中段受け流し)、②下段受け流し(魂氣の外巡りと魄気の外転換)、③上段受け流しで返し突き=一教運動裏、④一教運動表(井桁に進んで軸足交代で連続入り身運動と両手で気の巡り)、⑤片手取り想定で入り身転換・体の変更・後ろ転換、⑥片手取り想定でその場で内股に踏み詰め軸とし、後方半回転=体の変更(三面に開く)・後ろ転換(結局後方一回転)、⑦交差取り想定で後方半回転=体の変更・後ろ転換で昇氣呼吸法の単独動作、⑧外股の軸足とその膝に置いた同側の手を体軸として前方半回転連続、前方一回転、⑨後方回転
  • 片手取り入り身転換・体の変更
  • 片手取り体の変更・後ろ転換
  • 前/後方受け身
  • 交差取り一教表/裏(基本動作の連なりを注目)
  • 正面打ち入り身投げ表/裏
  • 杖合わせ
  • 13の杖
  • 組み太刀1から太刀取りの二法:相半身と逆半身の違いが基本動作の選択を規定することで技のつくりが異なる、理合に基づく技の発現の異同。

2023年

6月

21日

水曜稽古の記録 両手取りの導きは鳥船の魂氣・後ろ転換

  • 正勝吾勝で剣素振り、後ろ転換、切り返し、合気の剣で勝速日
  • 禊:天の浮橋に立たされて天地の氣に氣結びする/鳥船、左右左
  • 単独呼吸法坐技:①降氣②回外③昇氣④入り身運動⑤振り子運動⑥両手で天地に氣の巡り
  • 合気体操
  • 単独基本動作:①入り身運動各種②中段(相半身外入り身)/下段(外転換)/上段受け流し(一教運動裏)③一教運動表(三角法入り身で軸足交代)④正勝吾勝で魂気を下段に与える片手取り想定で入り身・転換・一歩後方へ置き換え=体の変更⑤片手取り想定で後方半回転(体の変更)・後方転換=後方一回転⑥交差取り想定で外巡り体の変更(後方半回転)・後ろ転換=後方一回転で昇氣呼吸法⑦交差取り想定で外股に踏み詰めて軸とし、小手返しの手として一歩逆半身外入り身転換・体の変更・後ろ転換=交差取り一教裏⑧軸足先を外股にしてその膝に手を置く体軸確立で軸足交代して前方半回転連続/軸足先を前方へ一回転⑨同じく後方回転 
  • 正面打ちに太刀取り二法:①相半身で横面打ち一重身の入り身運動内転換で柄中に振り下ろした手刀で包み取り、体の変更で取りの上丹田に杖巡りで掲げ、下丹田に下ろして入り身運動残心で太刀取り②逆半身で外入り身外転換・柄中に手刀を矢筈で差し込み、鳥船左半身(魂氣をサーからホー)で入り身・残心にて太刀取り。
  • 片手取り外転換で陰の陽(小手返しの手)にして同名側の手で母指球を下から包み、取りの母指に沿わせて対側の手刀を受けの手背に置く小手返し(コバ返し)/手首を取って手背全体を異名側の手で陰の陽に刈り取ると鏡返し
  • 陽の陽で交差取りに逆半身外入り身転換外巡り呼吸法/内巡りで鼠蹊部に結び内後ろ回転(体の変更・後ろ転換)
  • 相半身両手取りに外転換で昇氣呼吸法表
  • 相半身両手取りに受けの前の手を鳥船(ホー)で緊張伸展させ、即呼気で陰に体側へ脱力し後ろ転換で受けを導く、呼吸法裏へ。
  • 両手取りで導き天地に分けて上丹田に振りかぶる手で横面打ちに振り下ろすと導かれた受けの項に対側の手刀を振り下ろして回転投げ
  • 両手取りに前の手を天に分けて逆半身内入り身転換で呼吸投げ
  • 両手取りに逆半身入り身で両手を上丹田に結び後ろ転換で受けの手を畳んで呼吸法

2023年

6月

18日

天神町道場稽古 掴みにいかず矢筈で手刀を差し入れて鳥船の魂氣

  • 剣素振り、後ろ転換正面打ち、四方切り、合気の剣、切り返し、
  • 合気の剣で剣合わせ
  • 禊:天の浮橋に立たされて天地の氣に氣結びする/鳥船、左右左
  • 単独呼吸法坐技:①降氣②回外③昇氣④入り身運動⑤振り子運動⑥両手で天地に氣の巡り
  • 合気体操、前回り受け身、後ろ受け身
  • 単独基本動作:入り身運動(一重身で陰の陰、振り込み付き、横面打ち)、中段突きに逆半身受け流しで回外から返し突き、下段突きに外巡り外転換、上段突きに一教運動裏、両手で気の巡りを三角法で正面打ち一教運動表、片手取り入り身転換・体の変更・後ろ転換、片手取り後ろ一回転で体の変更、交差取りで後ろ一回転の体の変更(昇氣呼吸法と交差取り一教裏の二法)
  • 相対基本動作:交差取り一教裏/表、交差取り呼吸法
  • 片手取り入り身転換から体の変更はいずれも陰の魄気。前の足が非軸足を維持するように、軸足交代を確立する。非軸足は即座に外転換で軸足とする。対側の足先は間髪を入れず受けの後ろ三角に置いて入り身運動の残心で隅落とし裏。正勝吾勝勝速日の基本技
  • 交差取りに小手返しの手で鼠蹊部に結んで非軸足を外股で軸とし軸足交代して対側の足先を受けの前の足のすぐ外で内股にして軸とし、後ろ回転(体の変更・後ろ転換)で座ると一教裏。魂氣は体軸から解脱しても同側の鼠蹊部に置いたままにして後ろ回転で地につける。
  • 剣対杖:受けの正面打ちに、右半身で退き返し払い・突きを受けが逆半身で杖取りに左足を軽く進めて軸とし右逆半身外入り身で呼吸法/上段受け流しで一歩退き右半身で中段直突きを受けが逆半身で杖先をすくい取りに左足を軽く進めて軸とし杖尻で円を描くと二教固め、受けが相半身で杖先をすくい取ると逆半身一教運動で固め
  • 組み太刀3から、受けの剣先を払って受けが左半身で切り返すと足を入れ替え、左半身で左手を剣の嶺に置いて相半身内転換にて受けの小手を抑える/取りが剣を引いて左手刀を剣の嶺ではなく、受けの柄中に差し入れて鳥船近似にて矢筈で押し出す入り身運動から太刀取り。

2023年

6月

14日

水曜稽古記録 単独基本動作に加えるべきもう一つの交差取り後ろ一回転

  • 禊:天の浮橋に立たされて天地の氣に氣結びする/鳥船、左右左
  • 単独呼吸法坐技:降氣、回外、昇氣、入り身運動、振り子運動、両手で天地に氣の巡り
  • 合気体操
  • 単独基本動作:①入り身運動で入り身一足(二教の手、振り込み突き、横面打ち、中段受け流し)、②下段受け流し、③上段受け流し=一教運動裏、④一教運動表(三角法:軸足交代で連続入り身運動)、⑤片手取り想定で入り身転換・体の変更、⑥片手取り想定でその場で後方半回転=体の変更(三面に開く)・後方転換(結局後方一回転で陰の魄気)、⑦交差取り想定で後方半回転=体の変更・後方転換(結局後方一回転で呼吸法裏)⑧外股の軸足とその膝に置いた同側の手を体軸として対側の非軸足を足先側で前方へ置き換えて軸足交代する前方一回転、⑨内股の軸足とその膝に置いた同側の手を体軸として対側の非軸足を踵側で後方へ置き換えて軸足交代する後方回転、
  • 逆半身で魂氣の珠を包んで下段に与えて片手取りに、小手返しの手(陰の陽)に返して非軸足先を踏み詰めずに後方へ一歩置き換え、軸足交代の直後伸展している魂氣を下丹田に結ぶと同時に後方転換で呼吸投げ
  • 交差取りを小手返しの手(陰の陽)に返して非軸足の踵を剣線の外(受けの内)に外して軸とし、逆半身外入り身転換・体の変更・後ろ転換で後方一回転から座って一教裏。単独基本動作、交差取りに加える。
  • 交差取りを小手返しの手(陰の陽)に返して非軸足を外に(受けの内に)軽く平行移動して軸とし、対側の足をその後ろに置き換えて再度軸とし魂氣を上丹田に結ぶと剣線から30度受けの内側に位置して、なおかつ受けの手と上体は取りの体軸に伸展する。即座に非軸足を同側の手とともに受けの前三角に進め、継ぎ足とともに入り身一足で受けの上肢を地に制する、一教表。
  • 正面打ちに鎬で受け流して逆半身外入り身転換で同名側の肩に手を被せ、対側の手は後ろから同名側の背を軽く押して、被せた手と同側の非軸足を同期させて後ろ入り身落とし。
  • 横面打ちに相半身内入り身から外巡りで手刀を払い、矢筈で受けの上腕伸側を受けの前に制し、転進で逆半身外入り身転換から対側の手を受けの同名側の肩に被せて引きつけると後ろ入り身落とし。
  • 横面打ちに異名側の手で鎬を作って外転換で軌道を外して対側の手で頭部を外側から覆い、内側に顔面を拭うと受けの手刀を同名側の手で受けの外から払うことができる。そのまま手首を取って相半身外入り身で振りかぶると対側の手で三教に持って振り下ろし三教。受けは三教裏で受け身。
  • 横面打ちに逆半身返し突きで内入り身転換から対側の手で受けの手刀を下から取って体の変更・後ろ転換で昇氣呼吸法

2023年

6月

11日

天神町道場稽古 組み太刀で後手から先手へ、そして太刀取り

  • 禊:天の浮橋に立たされて天地の氣に氣結びする/鳥船、左右左
  • 単独呼吸法坐技:①降氣②回外③昇氣④入り身運動⑤振り子運動⑥両手で天地に氣の巡り
  • 合気体操
  • 単独基本動作:入り身運動三法、中段受け流し相半身外入り身、下段外巡り外転換、上段受け流し・一教運動裏、一教運動表、下段に与えて片手取り想定で入り身転換・体の変更、片手取り想定で三面に開く・後ろ転換、交差取り想定で外へ体の変更・後ろ転換は昇氣呼吸法、前方回転、後方回転
  • 剣素振り:正面打ち、後ろ転換、四方切り、切り返し、
  • 相対基本動作組み太刀1、変化技1、2
  • 相対基本動作組み太刀2、変化技1、2 以上斎藤守弘師範による

2023年

6月

07日

水曜稽古 後手を先手に変える二段突きは両手で剣を振りかぶる動作

  • 正勝吾勝で剣素振り、切り返し、後ろ転換、合気の剣で勝速日
  • 禊:天の浮橋に立たされて天地の氣に氣結びする/鳥船、左右左
  • 単独呼吸法坐技:①降氣②回外③昇氣④入り身運動⑤振り子運動⑥両手で天地に氣の巡り
  • 合気体操
  • 単独基本動作:①入り身運動各種②中段(相半身外入り身)/下段(外転換)/上段受け流し(一教運動裏)③一教運動表(三角法入り身で軸足交代)④正勝吾勝で魂気を下段に与える片手取り想定で入り身・転換・一歩後方へ置き換え=体の変更⑤片手取り想定で後方半回転(体の変更)・後方転換=後方一回転⑥交差取り想定で体の変更(後方半回転)・後ろ転換(後方一回転)で昇氣呼吸法⑦軸足先を外股にしてその膝に手を置く体軸確立で軸足交代して前方半回転連続/前方一回転⑧同じく後方回転 
  • 坐技/立ち技片手取り呼吸法三種
  • 片手取り入り身転換・体の変更・外転換で隅落とし裏
  • 片手取り外転換隅落とし表
  • 正面打ち一教裏

 *後手を先手に変える。内に開いて逆半身振り込み突き・非軸足を一歩退いて体の変更で内転換・相半身切り下ろし:

  • 正面打ち後手を小さく内転換として逆半身振り込み突きで受けの真中を撃つと同時に対側も振りかぶって(一教運動)非軸足を後ろに一歩退き、内転換で相半身として振り下ろすと先手に替わり、上下から受けの手首を挟んで包み、下丹田に結んで即前方回転で振りかぶると四方投げ表。
  •  ——— 同名側の手で上から外巡りに払うと転進で小手返し。

  • 正面打ち後手に小さく受けの外へ軸足を作って両手で振りかぶって横面打ちで対側を一歩後ろに下げて開くと相対的逆半身外入り身、前の足を大きく一歩後ろに置き換えて相半身として同名側の手で上から手背を小指側から包み、即一教運動裏・体の変更・後ろ転換で一教裏。
  • 正面打ちに相半身で合わせて逆半身内入り身転換で振り込み突き・受けの手刀側を同名側の手で把持して腋の下から対側の手で突き上げて天秤投げ

2023年

6月

06日

武技の生まれる動作を裏打ちするもの(生成化育のタイトルより)

武技の生まれる動作を裏打ちするもの 

  ——— 合気道開祖植芝盛平の言葉より

 

魂、氣、魄

生きている人にとって、その心身が働きを持つためには覚醒して活力を得ることが必要である。眠っているか休んでいる時の心のたましい魂と体のたましい魄はそれぞれ天地にあるものと思い、その間は大気によって満たされ、呼吸することで命は保たれていると考える。

 

合気は禊

植芝盛平合気道開祖は、はじめに天の浮橋に立ち、禊によって合気が始まる、と説いた。すなわち、片寄りのない左右の足で大地に立ち、吸気で両手を広げて天から魂氣を受け、地から魄氣を受けることを思う。呼気で両手の掌を打ち合わせて音を立てると魂氣は全身にひびき、下丹田に集まると思うことにする。これが天地の気に気結びするという言葉と思いと動作の三位一体であり、魂気(手)と魄気(足腰)の気結びが禊、つまり合気なのである。

 

正勝吾勝

今、右足を軸として上体を支えると左足は非軸足となり、軽く半歩前に出して足先を地に触れるのみとする。両手のひらに魂氣の珠を包むと親指で蓋をしてから、正対する下丹田の脇に手背を前に向けて置き、呼気相とする。この足腰を左半身と呼び、陰の魄気による働きで成り立つものと思うことにしている。この時の右軸足と同側の魂氣は体軸に与り、開祖はこれを〝吾勝〟と呼ぶ。

また、非軸足と下丹田に置かれた同側の手は体軸から解かれており、開祖はこれを〝正勝〟としている。非軸足と左の手は魄気と魂氣の結びを解いており、互いに自由な動きが可能であるはずだ。つまり、左足先は前後左右に置き換えられ、同側の魂氣は〝空の気を解脱し〟〝身の軽さを得て〟虚空に発することができる。この場合、空の気とは体軸を地に立たせる軸足として働く魄気、つまり右の足腰を指していると解釈できる。

 

鳥船と魄気の陰陽

鳥船の動作はこの陰の魄気から始まる。地を踏み詰めたまま吸気で右軸足を伸展し、同時に左の非軸足は足底全体で地を踏み、下腿を直立させる。この瞬間、軸足と体軸は欠如して左右の足は非対称の姿で体幹軸を地の上方で支えるにすぎない。しかし、このとき左の腰は前方の左足に合わせて前に振れるから下丹田は内(右前方)に向かう。体幹軸は直立して目付は前方を保ち、両手の振り込み突きで魂氣を前方へ発するために、下丹田は右前下方の地を指して三点で体幹軸を支える必要がある。この一瞬の姿勢を陽の魄気と私は呼んでいる。

 

魂氣の陰陽

掌に魂氣の珠を包んで虚空に発しようとして上肢を伸展する動作は陽の魂氣、丹田に巡って体軸に置くときは陰の魂氣と呼ぶことにする。掌を上に向けると狭義の陽、地に向けると狭義の陰と称し、広義の陰陽、狭義の陰陽の順で表現することにする。例えば、小手返しの手は陰の陽、二教の手は陰の陰、片手取り昇氣呼吸法は吸気で掌を開いて母指先の反りに合わせて陽の陽の手、入り身投げは手刀の母指先が地を指して陽の陰の手ということになる。

鳥船の動作では吸気とともに魄気は陽で魂氣を陽で発し、呼気で陰の魄気に同期して魂氣は陰に巡る。左、右、左半身で3回行い、はじめは母指先を地に向けて掌を開かずに振り込み突きで差し出し、次は右半身で母指先を前に向けてやはり魂氣を包んだまま直突きで差し出す。最後は左半身で掌をしっかり開き、地に向けて陽の陰で差し出す。鳥船で掌に大気を包み、振り魂で下丹田に魂氣の珠を思い、吸気で掌を開いて魂氣を虚空に発する。虚空とは何もない空間、大空であるが、すべてのものの存在する場所という意味でもある。以上が鳥船の思いと動作である。

 

入り身転換と体の変更

ここまでは動作といえども体軸移動を伴わない。陰から陽の魄氣で体軸を無くして体幹軸の微動と僅かな腰の切れに止まり、一呼吸で陰の魄気に戻るわけだ。一方、軸足を交代して体軸が移って相手の攻撃を受け流すなり、体を開いて真中を外すとか、入り身をして制するなどの動作は全て体軸の移動を伴う。つまり、魄気の陽から後ろの伸展した足を地から離して前の足に引きつける、いわゆる継ぎ足で二足が一本の軸足になり、体軸移動が成り立つ。入り身運動であり、基本動作の一つだ。これに転換が加わり入り身転換、一歩後ろに置き換えて軸足交代すると体の変更。また、入り身をせずにその場にて後ろ半回転で三面に開く体の変更。即後ろ転換で一回転、外転換なら受けの後ろ三角に進む隅落とし裏の動作となる。三面に開いて陽の魄氣で前方に放てば呼吸法表の動作である。

 

体軸移動は勝速日

魂気の陰陽・巡り・結びを三要素とし、魄気三要素は陰陽・入り身・転換回転とする。魂気三要素は呼吸法による手の働きを生み出し、魄氣三要素からは足腰の基本動作が確立する。体軸を作る手足が左、右と交代し、空の気(魄気)つまり体軸を解脱した手は身の軽さを得て魂の比礼振りが起こると喩えられ、虚空に円を描いて掌を開くと魂氣の珠は真空の気に広がり、呼気とともに丹田に巡って自身の魄気と結んで体軸移動が終わる。これが開祖によって〝勝速日〟に喩えられている。(道歌参照)

 

武産合気とは正勝吾勝勝速日

正勝吾勝で魂気を発し、非軸足を置き換えて軸足交代による体軸移動が始まり、同時に陽の魂氣が真空の気に結んで巡り、母指先が円を描いて自己の丹田に結べば陰の魂気で掌に再び魂気の珠を包んでおり、魄気と結んで体軸を成す。左右の魂氣と魄氣が一つになった体軸確立の瞬間が勝速日である。このとき円の中心に武技が生まれる。したがって勝速日とは残心の姿そのものである。

 

まとめ

魂気と魄気が結んで体軸をなし吾勝、対側は解かれて非軸足と魂の比礼振りが起こり自在に働く正勝。これらが交代するうちに虚空で円を描くと、左右の魂氣と魄気の一つに結ぶ合氣が体軸を確立する。そこに技が生まれて残心の姿こそ勝速日。

熱も光も愛も気も、物として捉えることはできないが、円の動きを裏打ちして真中に技が生まれる。

 心を表現する言葉、言葉と調和した肉体の活動。言葉と思いと動作の三位一体はあらゆる活動の原理である。

 

道歌:合気とは 筆や口にはつくされず 言ぶれせずに悟り行え

   真空と空のむすびのなかりせば合気の道は知るよしもなし

 

 正勝吾勝勝速日・武産合気に全てが含まれる。

2023年

6月

04日

天神町道場稽古 合氣道の技は自然の法則に基づく術理が生む

  • 正勝吾勝:剣素振り、受け流し・切り返し、後ろ転換正面打ち、
  • 勝速日:合気の剣、
  • 禊:天の浮橋に立たされて天地の氣に氣結びする/鳥船、左右左
  • 単独呼吸法坐技:①降氣②回外③昇氣④入り身運動⑤振り子運動⑥両手で天地に氣の巡り
  • 合気体操
  • 単独基本動作:①入り身運動で入り身一足(二教の手、振込突き、横面打ち、中段受け流し)、②下段受け流し(魂氣の外巡りと魄気の外転換)、③上段受け流しで返し突き=一教運動裏、④一教運動表(井桁に進んで軸足交代で連続入り身運動と両手で気の巡り)、⑤片手取り想定で入り身転換・体の変更・後ろ転換、⑥片手取り想定でその場で内股に踏み詰め軸とし、後方半回転=体の変更(三面に開く)・後ろ転換(結局後方一回転)、⑦交差取り想定で後方半回転=体の変更・後ろ転換で昇氣呼吸法の単独動作、⑧外股の軸足とその膝に置いた同側の手を体軸として前方半回転連続、前方一回転、⑨後方回転
  • 坐技正面打ち一教表
  • 立ち技正面打ち一教表を一教運動表から
  • 正面打ち入り身投げ裏を一教運動裏から
  • 片手取り四方投げ表を各基本動作の連続から:二教の手で外転換、振りかぶって前方半回転連続で正面打ち近似で残心
  • 剣対杖:直払い、返し払い・突きに逆半身杖取りを呼吸法、受け流し突きに逆半身杖取りを二教固め、相半身杖取りを一教
  • 後手中段突き/正面打ちに受けの内に開いて逆半身内から振り込み突きを陽の陰で巡ると受けの真中は制御され、同時に対側の手で振り込み突きを受けの真中に発して両手を振り下ろし、一歩退くと相半身内転換となり両手で受けの手刀を挟んで持ち、下丹田から振りかぶると四方投げ表。
  •  後手中段突き/正面打ちに受けの内に開いて逆半身内から振り込み突きを陽の陰で巡ると受けの真中は制御され、同時に対側の手で振り込み突きを受けの真中に発して両手を振り下ろし、一歩退くと相半身内転換となり、同名側の手で受けの手を払う外巡りに合わせて転進で逆半身外入り身転換・体の変更で小手返し。
  • 上段突きに逆半身横面打ち外入り身で突きを削ぎ落とし、対側の手で振り込み突きを下丹田に巡り、前方の足を体の変更で相半身として受けの同名側の手を手背から小指球を包んで、即逆半身外入り身に戻って一教運動裏で二教固め表

リンク

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