*神氣館【 高槻市 天神町道場 】               Shinkikan aikido tenjinmachi-dojo (公財)合気会公認道場                                   Takatsuki-city Osaka JAPAN         大阪府合気道連盟加盟道場                                       開祖植芝盛平の言葉と思いを動作する basic techniques from words and thoughts of the Founder, Morihei Ueshiba        不動の軸足に陰の魂気:〝吾勝〟  非軸足と〝魂の比礼振り〟:〝正勝〟        〝この左、右の気結びがはじめ成就すれば、後は自由自在に出来るようになる〟:軸足交代         二つはこんで一と足すすむ・入り身一足と、体軸に与る両手の巡り:〝左右一つに勝速日、業の実を生む〟       〝正勝吾勝〟で剣素振り 合気の剣は〝勝速日〟 〝正勝、吾勝、勝速日とは武産合気ということであります〟                     「螺旋の動作」のタイトルに 2. 勝速日から正勝吾勝へ 手捌き足捌きの実際 2026/4/4 3. 己れの円内に中心を置いて抑える合気道の術技 2026/4/13                    4. 徒手と剣打ち込みで入り身一足の手捌きに違いがあるのか 2026/4/20                    5. 魄気の陽の不安定性 2026/5/25 「令和8年のおしらせ」に 6月の稽古予定  稽古の記録 2010/8/15〜2026/6/3

2025年

11月

30日

日曜稽古の記録 交差取りと正面打ちの一教裏は同じ手捌きか

前者は抜刀して手刀振りかぶりで吾勝に、後者は納刀のまま対側の返し突きで入り身転換の正勝になると同時に抜刀して陽の陽

同時打ち正面打ち入り身投げ表は陰・二教の手で上丹田に結び、裏は抜刀せず入り身転換で初めて抜刀・陽の陽に。

  • 禊:天の浮橋に立ち天地の気に気結びする/鳥船左右左/天地の気に気結びする/気の巡り
  • 坐技単独呼吸法:降気、回外、昇気、一気、入り身運動、振り子運動、両手で気の巡り表/裏
  • 合気体操
  • 突きに異名側の足を正勝で外・背側に置き換え、魂氣は天を指して体軸・吾勝とし、対側を非軸足として剣線を足先で外し正勝とする。天の手を下ろして受けの母指球を包み一歩開く体の変更で同側の手を返し突きから小手返し表。体を開く時、同側の手を同期して背側に巡らさず返し突きで発する。
  • 突きに外入り身転換・体の変更で小手を取り、後ろ回転と同時の返し突きで真中を取って下ろせば小手返し裏
  • 突きに相半身で非軸足を剣線の内に置き換えて足先は受けの真中を指す、同時に同側の魂氣を母指の抜刀(陰の陽の回外で肘は下丹田をかすめる)で受けの真中を撃つ。回内して相半身外入り身一足で入り身投げ。間合いがあれば軸として対側を一歩進めて逆半身外入り身
  • 交差取りに抜刀から肘を弛緩屈曲して回内すると母指先の反りが横切りに進まず巡って頂丹田を指す。受けの腋が開いてそこに手刀の振りかぶりが入る気結び・呼吸法が生まれる。体軸へ交代し(吾勝となって)対側の魂氣は正勝で受けの上腕伸側を担ぎ上げて外入り身転換・体の変更・後ろ転換で一教裏。手刀は第一指間で受けの手首を取り、納刀・鳥船の振り戻しで後ろに振れる。対側の手は下丹田に結ぶ。
  • 諸手取り外転換・後ろ転換で小手返しの手(陰の陽の魂氣)を下丹田に巡り・体の変更・後ろ回転で一教裏/交差取り抜刀から一歩退いて下丹田の高さで横切り納刀で後ろ回転・後ろ転換で一教裏
  • 諸手取りに十字投げ/外巡りで小手返し

2025年

11月

26日

水曜稽古の記録 母指の抜刀橈屈で母指先の反りが入り身転換の手捌き

  • 禊:天の浮橋に立ち天地の気に気結びする/鳥船左右左/天地の気に気結びする/気の巡り
  • 坐技単独呼吸法:降気、回外、昇気、一気、入り身運動、振り子運動、両手で気の巡り表/裏
  • 合気体操
  • 相対基本動作掛かり稽古で捌き:正対または半身で真中を与えて(正面打ちまたは突きに)天地に開いて外転換/体を開いて真中を撃つ/天地に開いて入り身転換、

 *外転換:正勝吾勝・半身から正勝・非軸足を外に置き換えて軸とし、対側の軸足を非軸足に交代して剣線の手前に足先を置いて、正勝吾勝の反転と目付を剣線に直行する足捌き体捌きを言う。

  • 半身に横面打ちでは、抜刀から外入り身運動で横切りへ円を描いて削ぎ落とし同名側の手は真中に振り込み突き/体を開いて真中に抜刀から同名側の頸部へ結ぶ。
  • 交差取りに抜刀から陽の陽で真中を突く指先を中丹田に巡り二教/上丹田に伸ばして相半身外入り身投げ/内巡りの納刀で軸として内に転換して正勝で抜刀・魄気の陽から受けの腋の下を対側の手で陽の陽に発して一歩入り身一足、天秤投げ/抜刀してから非軸足先を母指先に合わせて体軸(吾勝)として逆半身外入り身、体を開いて回内すると母指先は天を突いて円を描いて、受けの回り込みを引き入れて魂気を上丹田に降ろす、二教入り身投げ。
  • 肩取り面打ち体の変更から四方投げ表/裏
  • 交差取りに抜刀から下丹田にて横切りで巡って同側の足を一歩後退から剣線を外して後方に回して軸とし、後ろ転換で軸足交代した膝を着いて対側をさらに後ろへ回して膝を着くと座って一教裏へ

2025年

11月

23日

日曜稽古の記録 片手取りに切り返し呼吸法の手捌き二法

  • 禊:天の浮橋に立ち天地の気に気結びする/鳥船左右左/天地の気に気結びする/気の巡り
  • 坐技単独呼吸法:降気、回外、昇気、一気、入り身運動、振り子運動、両手で気の巡り表/裏
  • 合気体操
  • 単独基本動作:振り込み突き、横面打ち、中段受け流しで相半身入り身運動、上段受け流しで相半身入り身運動、下段受け流しで外転換、下段に与えて片手取り想定で入り身転換・体の変更/体の変更・後ろ転換、交差取り想定で相半身後ろ転換・体の変更・後ろ転換、前方半回転連続/一回転、後方回転
  • 相対基本動作: 魂気を包んで正勝吾勝で下段に振り込み受けに与える。回外して納刀の手捌きで取らせる。さらに回外して母指先を抜刀の思いで伸展し、母指先の反りの方向に円を描いて正勝の足先を同期して外入り身と同時に母指先をさらに巡ると魄気の陽で踏みつめ、体側に魂氣を結ぶと同時に継ぎ足で入り身一足・勝速日で抜刀横切りの呼吸法による投げ。
  • 片手取り入り身転換の手捌き:魂氣を包んだ手を掌屈・回外で与えて母指先は内に巡り、同側の非軸足・正勝を半歩進めて内転して軸とする入り身、尺屈して納刀の形で下丹田に結び、転換すると半身を転換した正勝吾勝・魄気の陰。
  • 片手取り入り身転換で魄気の陰から体の変更で半身を戻して魄気の陰。受けの回り込みに魄気の陽で正勝の手を陽の陽で受けの真中に差し出し、昇気呼吸法表。
  • 左半身杖直突きから杖巡り・上段返し右半身面打ち:杖尻の手を上丹田に二教の手から杖中の手を上丹田に移して軸とし杖尻の手を正勝で右半身下丹田に小手返しの手に降ろすと右半身面打ち
  • 剣を右半身で切り返し左半身面打ち:柄頭の左手は上丹田に二教の手から下丹田に小手返しの手
  • 片手取りに抜刀から二教の手に巡って軸とし対側の手を振り込み突きで軸足に交代すると正勝となる二教の手を小手返しの手で下丹田に下ろしながら入り身、体側に巡って魄気の陽から継ぎ足で勝速日、切り返し呼吸法で隅落とし
  • 右半身片手取りに剣切り返しの手として上丹田に置いて陰の陽(小手返しの手)、体軸として入り身転換・体の変更で正勝に戻り、魂氣は陽の陰で魄気の陽・継ぎ足と共に勝速日で下丹田に陰の陰(二教の手)で結ぶ、切り返し呼吸法で呼吸投げ。左半身は杖中の手で上段返し打ちの捌きから呼吸法(左半身の切り返し呼吸法とする)。
  • 片手取りに陰の陽で上丹田に掲げ外転換で回内して対側の手は受けの真中に振り込み突きで払わせると同名側の手を取り返して軸とし、両手で気の巡りにより一教表/裏。
  • 抜刀振りかぶりの手捌きで呼吸法:片手取りに回外・伸展する抜刀から横切りに進めず肘を弛緩屈曲すると手根は背屈し回内して母指先が長丹田を指すと手刀振りかぶり呼吸法。植芝守央道主の〝力の抜けた〟手。単に脱力するのではなく手捌きの中で力が抜けて気結びが生まれている術技こそ呼吸法。

2025年

11月

19日

水曜稽古の記録 正面打ち振りかぶりへの外入り身の手捌き二法

  • 禊:天の浮橋に立ち天地の気に気結びする/鳥船左右左/気の巡り
  • 坐技単独呼吸法:降気、回外、昇気、一気、入り身運動、振り子運動、両手で気の巡り表/裏
  • 合気体操
  • 坐技片手取り呼吸法三法:母指の納刀で取らせて回外伸展すると掌を開いて(広義の)陽の(狭義の)陽で抜刀①母指先方向へ横切り、反りに合わせて円を描いて腋を閉じる納刀。②陽の陽から手根を背屈、肘を弛緩屈曲して回内に転じ母指先が頂丹田を指すと手刀の振りかぶり。③陽の陽から手根を掌屈掌に魂気の珠を包んで回内して上丹田に巡る、二教の手、〝巡り〟切り返しの呼吸法。cf.側頸の高さに納刀して肘で畳んだまま回内して母指先を前方に向ける。
  • 交差取り一教表/裏:横切り・両手で気の巡り/陰の陽で上丹田に切り返しの呼吸法(陰の陰・二教の手、杖巡りと陰の陽・小手返しの手、切り返しの剣の二法あり)
  • 交差取りに陽の陽で取らせて陰の陽・陽の陰へと巡って発し、入り身転換体の変更で受けの手を頸部に巻き付け入り身落とし。
  • 正面打ち一教表/裏:受けの正面打ちの振りかぶりに、受けの上段に抜刀で魂氣を与えて両手で気の巡りで勝速日、三角法で巡りに合わせて受けの真中へ魄気の陽から陰で一教表/回外して陰の陽で上丹田に結び、体軸として逆半身入り身転換にて対側の返し突きの手で受けの上腕を上丹田に結ぶ体軸の変更で同名側の手は陽の陽で受けの手刀尺側に密着し、被せて手首を取り返すと体の変更・後ろ転換で鳥船の比礼振りに、受けの上腕の手は下丹田に巡って体軸側になると同時に膝を着いて座り一教裏固め。
  • 正面打ち入り身投げ表二法:①逆半身で体を開いて側面打ちで受けの項を包み、同名側の手は取り自身の体側から頂丹田に挙上して受けの真中に打ち下ろす。②相半身で抜刀を陰の陽で上丹田に結んで体軸を成し、逆半身振り込み突きで受けの項に入り身一足、切り返し呼吸法で回内すると受けの同名側の頸部に母指球を当てる。
  • 正面打ち入り身投げ裏:受けの振りかぶりに振り込み突きから対側の手で横面打ちとして逆半身入り身転換で突きの魂氣を腰仙部にめぐらせ、体の変更で頂丹田に挙上して、回り込む受けを惻頸で引きつけ真中に振り下ろす。
  • 片手取りに外転換で同名側の手を陽の陰に巡らせ矢筈で受けの手首を掬い取り、取らさない手を昇気で、外入り身・上半身の入り身転換から呼吸法表/上半身を転換せず取らさない手で受けに魂氣を陽の陽で発すると受けは正面を手刀で守る。その手は取り返して十字投げ。
  • 坐技四教

2025年

11月

12日

水曜稽古の記録 切り返し呼吸法の妙味

  • 禊:天の浮橋に立ち天地の気に気結びする/鳥船左右左/気の巡り
  • 坐技単独呼吸法:降気、回外、昇気、一気、入り身運動、振り子運動、両手で気の巡り表/裏
  • 合気体操
  • 相対基本動作:突きに外転換、手捌きは各種/突きに相半身抜刀・二教の手に回内して逆半身外入り身/正面打ちに抜刀・切り返し二教の手で上丹田に結んで体軸として逆半身外入り身転換で正勝の手に・陽の陽。
  • 片手取り/交差取りに抜刀横切りで入り身一足
  • 正面打ちに抜刀で真中を撃つと軸足交代で逆半身外入り身投げ
  • 正面打ちに剣切り返しの両手で呼吸法にて逆半身外入り身投げ
  • 交差取りに抜刀で二教/回内して受けの腋を取りの前腕で詰めて逆半身外入り身投げ
  • 交差取りに抜刀相半身内入り身から回内で母指先を頂丹田に向けて振りかぶり呼吸法から三角法で逆半身内入り身転換にて取り返して呼吸投げ
  • 片手取りに抜刀で逆半身外入り身から振りかぶり/振りかぶりから二教の手で上丹田に結んで体側に振り下ろして隅落とし/二教の手で上丹田に結んで対側の手を腰投げの運動で相半身外入り身は隅落とし
  • 片手取りに外転換昇気呼吸法/対側で振り込み突きを払わせて逆半身外入り身二教の手で上丹田に結んで相半身外入り身転換から昇気呼吸法
  • 交差取りに相半身外後ろ回転から昇気呼吸法
  • 片手取り外転換で陽の陽にて矢筈で受けの手首を取り返し体の変更で開くと同時に対側の掌に受けの手背を受けて体軸とし、後ろ転換で受けの前腕に被せた手を体軸として下丹田に結ぶと二教表で座る。両膝に受けの肘と手根を挟む。
  • 諸手取り呼吸法:手刀を母指先が地を指す状態・陽の陰で取らせ、外転換で体軸を成すと同時に掌に魂氣を包んで腕を畳み側頸に結ぶ・陰の陽で、受けの両手を縦に並べる。取りの母指先を側頸に着けてから陽の陽で発する。肘は受けの胸骨上端に接している。
  • 交差取りを陽の陽で取らせて切り返し呼吸法にて陽の陰に巡らせ入り身転換で対側手を昇気で呼吸法裏

2025年

11月

10日

開祖の言葉と思いから合気道の要約 

開祖植芝盛平の合気道の要約(『合気神髄 合気道開祖・植芝盛平語録』より)

 

心のたましい魂は天に昇り、肉体のたましい魄は地に下り、間を満たすのは気である。左右片寄りのない足で体幹軸を垂直に支えて立つことに、開祖は〝天の浮橋に立つ〟という言葉と思いを込めた。

吸気で緊張伸展した手に〝天からの気〟魂気を受け、呼気で弛緩屈曲した手は体幹に巡り、足は地を踏み魄気を受ける。次の吸気では緊張伸展した指先から天空に魂気を発して、これは陽の気。呼気でふたたび〝魂気すなわち手〟を体幹に巡らせ、陰の気。これが丹田において魄気と結ぶ。つまり、〝天地の気に気結びする〟ことが禊である。〝一切の力は気より〟〝結びで力を生ずる〟〝合気は禊から始める〟と開祖は明言する。

 

踏み直した足を〝吾勝〟、〝軽く半歩出し〟た対側の足先は〝正勝〟。吾勝で魄気を地から受けて正勝は地を解脱する。半身の思いを開祖はそう教えているようだ。私はこの体勢を「魄気の陰」と呼んできた。

正勝吾勝で剣素振り。魂氣・正勝は陰陽に巡り、魄気・正勝は非軸足先であって地に置かれるのみである。そして魄気・吾勝は不動の体軸を成し、小林裕和師範の剣素振りはまさにこれである。

 

打ち込みの入り身一足で面打ちが生まれると、開祖はその体捌きを〝勝速日〟に喩えた。ところで、正勝吾勝と勝速日の間には「魄気の陽」が内在する。前で踏み詰め、後ろで突っ張る左右片寄りのある両足に魄気を受け、体幹軸を前後で支える一瞬の体勢が魄気の陽ということになる。体軸を失った瞬間でもある。

 

開祖は吾勝を〝自転公転の大中心〟、正勝は〝体の変化〟を生じるとした。正勝の足先を内転に捌いて魄気の陽から吾勝に転換し、体幹を後方へ反転して正勝吾勝にもどると「上半身転換」。続けて正勝を一歩後ろに置き替えて直ぐ吾勝に戻れば半身の転換はなく、正対方向を180度変更したことになり、これは「全身転換」と名付けられた(植芝吉祥丸二代道主著『合氣道』より)。今では体の変更とよばれることが多くなった。小林裕和師範は、一気に全身転換で魄気の陰とし、「三面に開く」と表現した。即座に上半身転換を続けると後ろ一回転の捌きとなる。

ところで、片手取り体の変更が魄気の陰にとどまらず陽に発するならば正勝の魂気で受けを前方に放つことになる。したがって、この動作で受けを取りの五体に閉じ込めようとするには無理がある。

 

魄気の陰が体捌きの兆しなら、魄気の陽は体捌きの要である。しかし、技が生まれる残心は勝速日であり、魄気の陽とは明確に区別するべきである。〝勝速日の基、左右一つに業の実を生み出します〟と開祖は明言している。

また〝正勝、吾勝、勝速日とは武産合気ということであります〟という開祖の言葉は、武産合気が明確な観念を伴う一方で、特徴的な形の集合を分類するものではないということを示唆している。

 

徒手の相対動作は合気の剣と通底する。魂気の陽ではその母指先と同側の非軸足先が同期して進み、正勝である。魂気が巡るとき、非軸足は踏み詰めて魄気は陽となり、呼気で魂気が体軸に結ぶと対側の継ぎ足が同期して入り身一足が成り立つ。つまり勝速日で五体は〝御柱〟となって地に立つ。〝魂が上、表になって魄を使う〟という開祖の教えである。

魂気が巡る前に魄気が陽となれば、その手の働きは魄力による。〝それはだめだ。魄力はいきづまるからである〟〝魂の気で、自己の身体を自由に使わなければならない〟。これぞ開祖の合気の本質であろう。

 

正勝となるべき手には〝魂の比礼振り〟が起こり、それまでに体軸を成していた魄気との結びから解脱している。〝身の軽さを得る〟、つまり武の兆しである。力を抜くのではなく、「抜けた手」(植芝守央三代道主著『合気道 稽古とこころ』より)である。

鳥船の動作(池田憲夫師範による小林裕和師範の口伝から)において、この思いが所作に現れているかどうかが肝であろう。比礼振りを吸気で前に発して掌に魂気を包む、陽の魂気、すなわち正勝。振り戻しから呼気で下丹田に巡って魄気と結ぶ陰の魂気、すなわち吾勝。この瞬間、イェイと発する。魂気は下丹田に置いて、体軸・吾勝から解脱した手はさらに後ろへ振り下りて再び魂の比礼振りとなる。鳥船の反復動作である。

 

合気道では、魄気の陽で両手を手刀にして前方に掲げる体勢を、構えとしては採用しない。

魂気と魄気の〝置きどころを知る〟ことが〝気がまえ〟であり、これが自在に出来ておらねば十分な力は出せない、と開祖は言い切る。掌に魂氣の珠を包む思いで体側に両手を垂らして片寄りのない両足で正対し、母指先が地を指しながら母指の伸側を前面に向ける。いわゆる無構えにして気がまえを成すのが本質であろう。松竹梅の剣の大前提がこれであるからだ。

徒手の半身では、吾勝の手が腰仙部に結び同側の足腰と結んで体軸に与る。正勝は掌に魂気を包んで下丹田に置く。同側の非軸足先と共に体軸から解脱して〝千変万化〟の武の兆しが生まれる。

 

天の浮橋に立つ思いから、左右片寄りのない禊と、正勝吾勝からなる剣素振りの禊と、魄気の陽を加えた禊・鳥船。つまり、合気の禊に三法あり。

合気道の練習において、老若男女それぞれの動作は間口を広く取るべきである上に、緩急自在に。但し、開祖の言葉と思いと動作の三位一体は忘れてならない。

敢えてみずから言触れせずに、開祖の言葉と思いで手捌き足捌きを同時に行えばすでに合気道である。開祖の肖像の下で、開祖の言葉と思いに裏打ちされた動作と理合を楽しむことこそが合気道である。

 

 

追補

植芝吉祥丸道主の呼吸(力養成)法について松竹梅の剣(小林裕和師範伝)を拠り所にして言語化する試み

 

呼吸法とは、自然の呼吸に伴って取りの魂気が受けとの接点より内に入り、互いの魂気の気結びによって受けが取りと一体になり、取りの動きのままに導かれる術技である。

 

抜刀から円を描く:

魂気の珠を掌に包んで掌屈し、正勝吾勝で下段に与えると回外して母指先を内に向けた状態で手首を取らせる。尚も回外して母指先は受けの真中を指し、吸気で手根は伸展して掌は開き、母指を手刀と見なす抜刀が成り立つ。さらに母指先の反りの方向へ気を発する思いで空間に円を描いていくと、呼気で腋を閉じて体側に巡る納刀の動作に移行する。円の中心に技が生まれる。

 

両手で気の巡り:

受けが手刀を振りかぶる動作に合わせて上段に与えると正面打ちに対する呼吸法となる。抜刀から母指先の反りの方向へ気を発する思いで円を描いていくと、手刀の横切りに同期して対側は側胸への当て身から陰に返して両手で気の巡りにより円弧を成す。勝速日から三角法で半身を転換し、腋を閉じて両手が体側に巡る納刀の動作に伴い、魄気は陽から陰へと鳥船の振り戻しに通底する。引土道雄師範の正面打ち一教表である。

道歌:右手をば陽にあらはし左手は陰にかへして相手みちびけ

 

手刀振りかぶり呼吸法:

抜刀した陽の魂気の手刀を弛緩して背屈・回内すると母指先は正勝のまま自身の頂丹田に巡って橈屈し、尺骨手根靭帯が伸展して手刀の刃先が受けの真中に立つ。植芝守央道主の〝力の抜けた〟手である。これは手刀振りかぶり呼吸法と呼べる。

陽の陽から陰に巡って狭義の陽でも陰でもない手刀。

 

切り返し呼吸法:

片手取りや交差取りで母指を抜刀して即弛緩回内から掌屈し、上丹田に巡って肘を屈曲すると母指先は受けの真中へ転回し、手背が受けの手首屈側に密着して結ぶ。魂気は陰で体軸を成して小林裕和師範は〝二教の手〟あるいは〝巡り〟と呼んだ。下丹田に小手返しの手(陰の陽)で体軸を降りると切り返し呼吸法が成立する。受けの手刀振りかぶりにおいては、切り返し呼吸法で吾勝へ体軸交代することで逆半身入り身・転換から入り身投げや一教裏の唯一無二の初動となる。

抜刀のまま陰の陽で上丹田に結ぶと同時に回内して狭義の陰に巡り、下丹田に降りるとこれも切り返しである。

リンク

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