『合氣道』(植芝吉祥丸道主著)より、「呼吸力」とは、〝合気道において最も大切な要素であり〟〝気の力のこと〟(p152)である。
『合気神髄 合気道開祖・植芝盛平語録』には、「呼吸力」を示唆する開祖の言葉が見出される。すなわち、
〝武産の武の阿吽の呼吸の理念力で魂の技を生み出す道を歩まなくてはならない〟(p12〜13)
〝精神の武は魄阿吽をもって明らかなる健やかなる清き力を出し、つとめて尽くすに至るべし〟(p61)
〝魂の気で、自己の身体を自在に使わなければならない〟〝自己の肉体は、物だから魄である。それはだめだ、魄力はいきづまるからである〟(p18)〝魄が下になり、魂が上、表になる〟(p13)
古来、心のたましい〝魂は天に昇り〟(p80)肉体のたましい〝魄は地に下り〟(p80)、間を充たすのが気であると教えられてきた。
そして、〝一切の力は気より〟(p131)、〝気は力の本である〟(p132)
〝気は一切を支配する源・本であります〟(p129)。
心のたましいが持つ生命力を〝魂気〟(p181)、肉体のたましいが持つそれは魄気と言い表される。
〝禊がれてはじめて本の始めに帰ります〟(p80)
〝合気は禊である〟(p150)〝合気は禊から始める〟(p145)
「呼吸力」とは呼吸を伴って相手と気結びする技術力と言える。気結びとは相手と接触した接点より拳一つ分中に入った取りの気力が受けに伝わり、魂気は取りのそれに一体化され、受けが体軸の確立を失った状態である。
一方の手・魂気が同側の軸足の魄気と結んで吾勝・体軸となれば、対側の手はその同側の非軸足とともに魂気を発し(正勝)、充分な力の集中発揮が可能となる。空間に発する魂気を広義の陽の気、体幹に巡って体軸に与る魂気を広義の陰の気と呼ぶことにしている。
「魄阿吽の理念力」のタイトル内から再掲