魂氣で魄氣を導く。
*体の変更は陰の魄気であり、予見をもって陽の魄気とするなら軸足・体軸不在で魂の比礼振りが起こらず魂氣は陽で発することができない。軸足交代への連動は途切れ、魂氣は手の合気に与らず、腕肩手を単に振り動かすだけの動作となる。
正面打ちの接点では〝気結び〟のなされる合氣。〈接点で争わない〉機序を以下に詳述する。
合気とは、手について言えば魂氣三要素の陰陽・巡り・結びを動作することである。結果として接点は固定されない。
正面打ち入り身投げ表を例にして気結びの具体的動作を詳述する。
正面打ちでは、魂氣の珠を掌に包み母指先を内に巡って受けの顔前に掲げ、吸気でその眼列に沿わせて開くつもりである。受けは手刀で正面を守ろうとする。取りの手首伸側が受けの手首尺側縁に触れた瞬間、その間に接点ができる。取りの前腕は手首と肘の間で鎬となって受けの手刀が取りの正中矢状面を外側へずれて降ろされる。
そこで取りの手首、つまり魂氣の接点は受けの手刀の尺側縁から伸側面に移動して魂氣の線を生む。魂線と呼ぶことにする。このことから接点は固定しない。
取りは接触した瞬間に母指先を外に転じて一気に吸気で掌を開く。すると受けの手刀の撓側に魂線が進み、それを越えたとき取りの手首は反屈して腋が完全に開き肘は伸展する。魂氣の陽である。取りの手背は受けの手刀の屈側に着くほどとなり、接点よりも近位に入って緊張伸展し、気結びが成される。ここから陽の陰に巡って受けの顔を取りの掌が包む、当て身となる。
魂氣が陽となる瞬間、同側の非軸足が入り身で軸足交代することで取りの魂氣は自身の上丹田に結ぶ。同時に前進している体軸に与る。すなわち魂氣は相対的に陰で弛緩屈曲の状態で自身の額に結ぶ。体軸の前進は相半身内入り身であり、互いの魄気の結びまでが成り立つ。術技の基本動作としては以下の過程が伴うのであるが、ここでは対側の魂氣は後ろに置くのみとする。すなわち、対側の手は同期して受けの脇の間を直突きし、井桁に進む際に振込み突きで真中を撃つ(上腕を担ぐ)一教表の前段である。
魂氣の相対は点から線、線から面、面から空間へ。魂氣の働きは広義の陰から陽、陽から陰へと巡って結ぶ。魂氣三要素の動作である。
以上は「魂の比礼振り」のタイトル、21を参照。
動画 正面打ち入り身投げ表の魂氣の結びと井桁の入り身:
手刀に結んで同側の一瞬軸足交代にて上丹田で体軸に与る魂氣。一歩逆半身外入り身で直ぐ軸足を戻して井桁に進み、魂氣は上丹田から魂の比礼振りで受けの異名側の頸部に浸透して体軸にひびき、受けの底を抜いて取りの下丹田に巡ると、受けは螺旋で落ちる。