それまで魂氣が同側の足腰(魄気)と丹田に結ぶことで体軸にあずかっていた手は、軸足交代によって体軸から解脱すると、つまり魄氣との結びを解くと、〝神変なる身の軽さを得る〟(『合気神髄』p105)。そこで母指先から自在に魂氣を虚空へ発することができるようになる。これは〝魂の比礼振りが起こる〟(『合気神髄』p106)と表現される。
このとき対側の魂氣と結んで交代した軸足が体軸を確立するから、その意味では対側のその魄氣を体幹の土台にして、自由になった手(魂氣)で非軸足の置き換えと共に、陰陽・巡り・結びの魂氣三要素を動作に表すことができる。〝空の気を解脱して真空の気に結ぶ〟(『合気神髄』p67)と表現されるがナンバ歩きに他ならない。
虚空に手で円を描いていく訳である。そして〝円を五体の魂(たましい)におさめる〟(『合気神髄』p120)すなわち魂氣は丹田にて魄氣と結ぶ。〝合気の魂の円〟(『合気神髄』p121)であり、〝円の動きのめぐり合わせが、合気の技であります〟(『合気神髄』p120)。
ところが、陽の魄氣の姿勢、つまり鳥船でホーと両手を振り出す動作に続いて両足を前後に踏ん張った姿勢で、体軸・軸足の不確立のまま静止してなおも魂氣を発し続けようとするなら、すでに〝つまっている〟(『合気神髄』p18)状態であり動作ではない。体軸に与らない前後の魄氣が直接両手に抜けて魂氣を追いやり、まさに魄気の力が伝わっていることになる。
開祖曰く、〝魄力はだめだ〟、〝魄が下になり、魂が上、表になる〟(『合気神髄』p13)、すなわち、右が魂氣と魄気の結びで体軸を作ればこれが土台となって、左の非軸足が自在に置き換わり、左の手(魂氣)は自由に空間へ円を描いて丹田に巡り、軸足へと交代して左の手足が体軸を作る。これが合気である(動画①②)。
動画①
動画②
禊、単独呼吸法、合気体操、単独基本動作をゆっくりおこないます。
この間に多くのひとり稽古が披露されており、色々見させていただきました。
やはり核心はそこにあるのだと、感じ入りました。皆が苦労して追究したり、一切無頓着であったり。様々であることがうかがえました。
*鳥船の核心は魄氣(足腰)と魂氣(手)の陰陽が同期するさまにあり
魄気の陰陽と魂氣の陰陽、呼吸との関連
魂氣の陽は魄気の陰から進める。掌に魂氣の珠を包んだまま陰の陽の
振り込み突きで珠を放たず。
魄氣の陽は静止ではない。そこから魂氣を発しようとするのではない。
既に魂氣は巡りである。
魄氣の陰では魂氣は既に丹田に結んでおり、はじめの左は後ろに手繰って
振り込み突きを繰り返す陽の兆しである。右は直突き、
しまいの左は陽の陰で差し出す。
*手でなにかをするには、足腰(魄)に陰陽の動作をさせることが土台になる。
*動くためには、まず軸足で体軸を固定する。非軸足の置き換える場所を知る。すぐ軸足を交代する。手は体軸側と魂の比礼振り側を逐一分ける。後者を存分に働かせ(魂氣三要素)て直ぐ体軸側に巡る。開祖のいわゆる自然の法則。